双子ですけどなにか?【修正終わりました】
私はそれで、頭に血が昇った。
「……晴人の気持ち無視して、何勝手に決めてるんですか……」
「……彩花には悪いけど、里美の立場を良くするためには……」
「里美先輩が良ければ、私達はどうでも良いのっ!?」
思わず大きな声を出した私を、二人の先輩が驚いた顔で見つめた。
「自分だって、いい加減なくせに……!」
私の怒りは止まらない。
健先輩は、メガネの奥の目を細めた。
「僕が……何だって?」
「健先輩だって、路チューしたじゃない!駅で二人を目撃したときだって笑って見てた。あの時、注意すれば良かったじゃない。晴人だけ、悪く言わないで……っ」
「僕はこんな人が多いところでは、しないよ。あの時はこんな事になるなんて思わなかったしね。いつか里美のために、態度を改めてくれると思って見守ってたのに」
「……晴人は晴人なりに努力してる。なるべく授業はサボらないようにしてるし、喧嘩も買わないようにしてます」
「だから……別にキミと言い争う気はないんだよ」
もういい、と言うように健先輩は大きなため息をついた。
私は悔しくて、悲しくて……疑念が涙で溶けて、出てきてしまった。
「里美先輩のためなら、何言ってもいいの……?」
「彩ちゃん……」
「これ、何ですか」
私は鞄から、あの日健先輩の部屋で拾ったヘアピンを取り出した。
手のひらに乗ったそれを見て、里美先輩があっと口を開いた。
しかし健先輩は、眉をひそめただけ。
「これ、里美先輩のですよね。晴人が同じものを持ってた」
「……彩ちゃん、それどこで……」
「健先輩の部屋です」
里美先輩の顔は見れなかった。
ただ、健先輩をにらんだ。
「……里美先輩とどれだけ仲が良いんですか」
健先輩は冷静に返す。
「……今、そんな話してないよ」
そして私の手にあるヘアピンをとろうとした。
私はそれを渡さないように、ヘアピンを握りしめた。
「そんなに大事ですか、里美先輩が」
「……幼なじみだからね」