双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「晴人を傷つける事は、私を傷つける事なんです。それでも、里美先輩に晴人と別れろって言えますか」
声には涙の響きが混じりはじめる。
健先輩は黙ったまま、私を見た。
「どうして、これが健先輩の部屋にあるの?里美先輩とあの部屋で一緒にいたの?」
「……その話は後にしよう」
「はぐらかさないで。私はずっと、不安だったの。三井先輩が言ってた。健先輩と里美先輩の間には、強い絆があるって。健先輩には里美先輩が一番大事で、私は、勝てないって……」
文化祭の前の事を思い出す。
どうして今まで、聞けなかったんだろう。
「……翔の言うことなんか、鵜呑みにするなよ……」
健先輩は面倒くさそうに額に手をあてる。
「三井先輩は、冗談は言うけど、嘘を言ってるとは思いません」
里美先輩が口を開きかけたけど、あたしはそれも無視して話し続けた。
「何なんですか、健先輩と里美先輩の絆って。昔、私と出会う前、里美先輩とどんな事があったの……?」
勇気を出してやっと聞けたのに、健先輩から出たのは、晴人みたいな舌打ちだった。
それに、あっというまに勇気が引っ込んでしまう。
「……話したくない」
「健くん、彩ちゃんになら、話してあげても……」
「そんなプライベートな事まで全部しゃべらなきゃならないなら、俺は彼女なんか、要らない」
俺って言った……。
私、健先輩を怒らせた……。
ううん、それより……。
要らないって、言われた……。
涙がボタボタと床に落ちる。
「健くん!」
里美先輩が大きな声を出す。
だけど健先輩は、私に追い討ちをかけた。
「仲間の心配より、自分の色恋沙汰の方が大事なのか。そんな子だと思わなかったよ。もういいから、帰りなさい」
その後も、里美先輩が私を庇う言葉を口にしたようだったけど、何も頭に入って来なかった。
やっぱり、健先輩は里美先輩が一番大事なんだ。
余計な事を言う私は、要らないんだ。