双子ですけどなにか?【修正終わりました】


くそ、おもしろがってやがる。


俺は、半ばヤケクソで答えた。


「気になる人は……いる。
でも、お前にシンクロしただけかもしれねぇ。
たまたま同じタイミングで会ったから、そう勘違いしてるだけかも……」


そうだ。


顔を思い出すだけで、胸が苦しくなるなんて……こんな不思議な感覚、俺は知らない。


「はぁ?何キモイ事言ってんの?」


俺の考えなんかお構い無しに、彩花が否定する。


ずい、と前のめりになり、俺の目をのぞきこんだ。


「あんたは、本当にその子が好きなんだよ」


きっぱりと、彩花は言った。


「シンクロなんか、昔の事じゃない。同じ人を好きになったなら、まだしも」


「キモイ事言うな。好きな奴がかぶるわけねぇだろ」


「だから!シンクロじゃ、ないんだよ」


彩花はバシッと、俺の頭を叩いた。


「いて!」


「いい?双子だっつっても、うちらは違う人間なんだよ。
タイミングはかぶっても、その人にひかれる気持ちは、違うの。

晴人の気持ちは晴人のもの。
私の気持ちは私のもの。

今更双子を言い訳にして、逃げてんじゃないよ!」


強気な瞳は、まっすぐに俺の目をにらむ。


俺の気持ちは俺のもの。


そんな当たり前の事を言われ、妙に納得してしまった。

< 35 / 429 >

この作品をシェア

pagetop