双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「晴人くん!今帰り?」


そうやって下駄箱で声をかけてきたのは、ヒナだった。

結局メガネに何も言い返せなかった俺は、あまりにイライラして、早退しようとしていた。

里美にメールをしたが、『明日の休みに話します』と、昨日と同じ返事しか来ない。

詳しい話を俺だけ知らないという疎外感と、彩花の不安定な心にシンクロしてしまって、体に力が入らなかった。


「おう、ダルいから帰るわ」

「大丈夫?彩花も来てないし……家族全員、風邪?」


ヒナは心配そうな顔をしてくれた。

それだけで、少し安心する。


「あぁ……色々あってな。お前、明日暇か?」

「明日?うん、暇だけど」

「良かったら、彩花をどっか連れてって、話聞いてやってくれや」

「えっ?何?何か悩んでるの?」


ヒナは困惑した表情を見せる。


「……おぅ。へこみすぎてて陰気くせぇったらねえからよ……女同士の方が話しやすい事もあるだろうから。頼むわ」

「……うん、わかった」

「……サンキュ、ヒナ」


ガラにもなく笑いかけると、ヒナも微妙な顔で笑った。

まだ、彩花を心配してくれる友達がいる。

俺達は、孤立無縁じゃない。

そう言い聞かせて、下駄箱を開けた。


「……何だ?」


靴の上に、封筒がある。

白くて、何も書かれていない簡素な封筒だ。


「なになに?ラブレター?」

「アホか。挑戦状じゃねぇか?」


と、口では言いつつも、やはり気味が悪い。

彩花へのイジメの一貫だろうか。

それにしても、怖い者知らずなやつだ。

ヒナの目の前で、バリバリとその封筒を指で開けてやった。

ただの紙が入っているにしては、指にかかる重みが違う。


「……はぁ……?」

「何これ……」


封筒から出てきたのは、何枚かの、写真だった。

その内容に、絶句する。

写真に写っていたのは、制服のメガネと里美の写真だった。

ただ、一緒にいる写真じゃない。

1つの玄関から出てくる瞬間から、寄り添って学校に向かうシーンが何枚かに分かれ、プリントされていた。



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