双子ですけどなにか?【修正終わりました】
しかし俺の腹には相変わらず、モヤモヤとしたものがたまっている。
「……その嫌がらせは、前からあったのか」
「……つい最近だよ」
「もう隠すなよ。てか、何で早く言わなかった。そんなに信用ねぇのかよ」
「そんな……そんな事じゃないよ」
思わず大きな声を出してしまうと、里美は萎縮した。
やはりおかしい。
いつもなら、こんな事で負けないはずだ。
言い返して来ないのは、嫌がらせで弱ったからなのか。
やましい事があるせいなのか。
「何でメガネも彩花も知ってて、俺が蚊帳の外なんだよ……」
「……ごめんなさい……犯人がわかったら、また、喧嘩になっちゃうと思って……」
「……当たり前だろ、見つけたらぶっ殺してやる」
「だから、そういうのやめてよ……」
里美は泣きそうな顔をした。
「やだよ、そういうの……。もう喧嘩しないんじゃなかったの?こんな怪我するの、二度と見たくなかったのに」
その細い手を俺の頬にあてて。また、非難するような目をした。
「……うそつき……」
その言葉に、俺の中で何かがキレた。
「あぁ……?」
喉から出た声は、いつもより低くて。
にらまれた里美が、びくっと肩をすくませる。
その手が、顔から離れた。
ぬくもりが。
失われていく。
「……お前は人の事、言えるのかよ……」
「えっ……?」
「うそつき、じゃねぇよ。だったらお前は何なんだ」
俺は立ち上がり、机にしまっていた写真をとった。
追いかけるように腰を上げた里美に、それを投げつける。
足下に散らばったそれを見て、里美は声を失った。
「何これ……」
「俺が聞きてぇよ。親切な誰かが、下駄箱に入れてくれたんだ」
はるか頭上から見下ろした彼女は、顔を上げた。
「違うの、これは……」
「あぁ?」
「晴人くんが思ってるような事は、何もないの……」
黒目がちな瞳に、涙がたまっていく。
「……健くんちに、泊まったよ。だけど、何も無いの」
「……はぁ……?」