双子ですけどなにか?【修正終わりました】
そう言えば、そうだ。
「……大丈夫かな……」
晴人が怪我をしてくるなんて、それ自体普通じゃなかったのに、何も気づかなかった。
私にシンクロしただけじゃない。
きっと、自分自身も傷ついてたんだ。
今朝、その広い背中が何となく小さく見えたのも、そのせいだったんだ。
晴人の顔を思い出すと、胸がギュッと潰れるような感じがした。
「……なに、これ……」
息が苦しい。
痛かった胸は、ますますしめつけられていく。
「彩花……?」
ヒナが心配そうにのぞきこむ。
「……違う、私じゃない……」
この、胸の痛みは。
体が震えて、涙が出るのは。
私だけど、私じゃない。
「晴人……」
「えっ?」
「晴人が、泣いてる……!」
何故だか、そう確信した。
「ごめんヒナ、私、帰る……っ」
早くしなきゃ。
晴人が。
あんなに強い晴人が泣いてる。
傷ついて、一人で泣いてる。
私はヒナの家を出て、全速力で走った。
あぁ、この距離が、私と晴人の魂くらい、近かったら良いのに。
私達の、二つの魂くらい。