双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「「寒っ!」」
私達は、声を合わせた。
なるべくたくさん着こんできたけど、11月、しかも夕方の海は死ぬほど寒い。
辺りはオレンジ色に染まり、もう既に、海に夕陽が溶けだしていた。
「綺麗だねぇ……」
「おぅ……風が強いけどな。もう俺達の悪いものを全部吹き飛ばせ!って感じだな」
「そうだー!もっと吹けー!」
ビュウウウウウ。
本当に吹き飛ばされそうなくらいの風が吹いて、私達は余計な口を閉じた。
砂浜に立ったまま、ぼんやりとオレンジ色の空と海を見ながら、私達は、どちらともなく手を繋いでいた。
トクトクと、体温を伝って二人分の痛みが循環する。
指先がジンジンする。
胸が、痛い。
気がつけば、涙が頬をつたっていた。
「だっせぇな」
晴人がそれに気づき、ちゃかすように言う。
そして、繋いだ手に軽く力を入れた。
「よし、今日は気が済むまで泣け」
「うぅ……晴人も泣いて良いよ……」
「アホ、男が泣くか。俺の分まで代わりに泣いてくれよ」
そう言った晴人の声は、かすれていた。
私が帰ってくる前、泣いたくせに。
そんな憎まれ口をたたく元気もなかった。
涙が次から次に溢れて、こぼれる。
「終わったね……うちらの初恋」
「……だな。同時に始まって、同時に終わったな」
「これから、色々な事があると思ってたのにね……」
「……いや、春から色々、ありすぎただろ……」
私達は、お互いの顔を見ずに、終わっていく今日を眺めていた。
夕陽は勝手に沈んでいく。
ちゃんとした別れの言葉もなかった、あたし達の恋を連れて。
「お前は良いのかよ……ちゃんとメガネと話をしなくて」
「もういい……これ以上ショックな事言われたら、どうにかなっちゃう」
「そうか……」
思い出すだけで、胸が潰れそう。
健先輩……。
私に、居場所をくれた人。
「大好きだったのになぁ……」
言葉にしてしまったら、また涙が溢れた。