双子ですけどなにか?【修正終わりました】
そちらをチラリと見ると、明らかに私達を見てヒソヒソ言っている女の子達がいた。
そして他の方向からも、同じような視線を感じる。
「行くぞ、彩花」
「あ、待って……」
晴人に声をかけられ、下駄箱の前に着くと。
「……え……っ?」
「なんだ、こりゃぁ!?」
私達は、言葉を失った。
下駄箱に、廊下に、たくさんの貼り紙がしてあった。
里美先輩の悪口のビラと同じように、パソコンで作ったような貼り紙。
その内容は。
『武内兄妹・近親相姦発覚!!』という太いゴシック体の見出し。
そして、その下には、海で抱きあい見つめあう、私と晴人の写真があった。
私はともかく、その背の高さと、まだ片耳にピアスをつけたままの晴人は、誰が見ても本人だった。
「げっ、何これ!」
土足で追いかけてきた三井先輩が、驚きの声を上げた。
「……晴人……」
「……全部、はがすぞ。手伝え三井。そしたら話を聞いてやる」
「あっ、ああ……」
バリ、と晴人が一番近くにあった貼り紙を破った。
廊下は私達の登場で、一層ザワザワとしはじめる。
冷たい視線や非難の声が、私達を串刺しにした。
「彩花、晴人くん」
「なんだよこれ!」
後から来たヒナと和樹くんが困惑した表情で駆け寄った。
「ヒナ。彩花と一緒にいてくれるか」
「うん」
「和樹、俺と三井を手伝ってくれ。全部、処分する」
「わかった」
晴人がてきぱきと決めて、廊下の貼り紙をはがしはじめる。
「彩花、屋上に行こう」
ヒナがあたしの背中をさするように、手をあてた。
なんで、どうしてこんな……。
確かに、事情を知らなければ、カップルに見えなくもない写真だけど。
身体中の血が引いていく。
唇は震えはじめていた。
ありえない……。
「ありえないよねぇ、兄妹でなんて」
「一緒に住んでるんだから、家の中ですれば良いのにね」
「やだ、するって、何をよぉ」
意地悪な笑い声が聞こえて、泣きそうになった。