双子ですけどなにか?【修正終わりました】


そちらをチラリと見ると、明らかに私達を見てヒソヒソ言っている女の子達がいた。

そして他の方向からも、同じような視線を感じる。


「行くぞ、彩花」

「あ、待って……」


晴人に声をかけられ、下駄箱の前に着くと。


「……え……っ?」

「なんだ、こりゃぁ!?」


私達は、言葉を失った。

下駄箱に、廊下に、たくさんの貼り紙がしてあった。

里美先輩の悪口のビラと同じように、パソコンで作ったような貼り紙。

その内容は。


『武内兄妹・近親相姦発覚!!』という太いゴシック体の見出し。


そして、その下には、海で抱きあい見つめあう、私と晴人の写真があった。

私はともかく、その背の高さと、まだ片耳にピアスをつけたままの晴人は、誰が見ても本人だった。


「げっ、何これ!」


土足で追いかけてきた三井先輩が、驚きの声を上げた。


「……晴人……」

「……全部、はがすぞ。手伝え三井。そしたら話を聞いてやる」

「あっ、ああ……」


バリ、と晴人が一番近くにあった貼り紙を破った。

廊下は私達の登場で、一層ザワザワとしはじめる。

冷たい視線や非難の声が、私達を串刺しにした。


「彩花、晴人くん」

「なんだよこれ!」


後から来たヒナと和樹くんが困惑した表情で駆け寄った。


「ヒナ。彩花と一緒にいてくれるか」

「うん」

「和樹、俺と三井を手伝ってくれ。全部、処分する」

「わかった」


晴人がてきぱきと決めて、廊下の貼り紙をはがしはじめる。


「彩花、屋上に行こう」


ヒナがあたしの背中をさするように、手をあてた。


なんで、どうしてこんな……。

確かに、事情を知らなければ、カップルに見えなくもない写真だけど。

身体中の血が引いていく。

唇は震えはじめていた。

ありえない……。


「ありえないよねぇ、兄妹でなんて」

「一緒に住んでるんだから、家の中ですれば良いのにね」

「やだ、するって、何をよぉ」


意地悪な笑い声が聞こえて、泣きそうになった。

< 368 / 429 >

この作品をシェア

pagetop