双子ですけどなにか?【修正終わりました】
そんな私を見て、晴人が周りに怒鳴る。
「うるせぇ、黙れっ!!!」
地獄の底から響くような低い声に、廊下は一瞬静まり返った。
……頭が、痛い。
体の震えが止まらない。
晴人にすがりつきたいけど、それもできない。
ヒナに付き添われて少し歩くと、前から今一番会いたくない人がやってきた。
「何だ、これは」
それは、健先輩だった。
嫌だ。見ないで……。
「2年の方にも貼ってあった。今生徒会も先生達も処理にかかってる。だけど、これは一体どういう事だ」
健先輩はチラリと私を見ながら、晴人に声をかける。
晴人は、忌々しげに健先輩をにらんだ。
「知らねぇよ!知るわけねぇだろ!ただハッキリしてるのは、俺と彩花がデキてるなんて事は絶対ねぇって事だけだ!!」
晴人は獣みたいな声でうなった。
「……そうか」
健先輩は、ただうなずく。
信じてくれただろうか。
こんなおぞましい嘘、見られたくなかった。
健先輩だけには。
私達は、ただ。
ただ、一緒に産まれて、育って、やっと、支えあうって事を知っただけなのに。
もう、学校で一緒にいる事も許されない。
突然ぐわり、と視界が歪んだ。
「彩花!」
最後に私を呼んだのは、誰だっただろう。
そんな事もわからないまま。
私は冷たい廊下で、意識を手放した。