双子ですけどなにか?【修正終わりました】
職員室には、生活指導の教師と、俺と彩花の担任、そして教頭がいた。
「これはどういう事だ?」
はがした貼り紙を目の前で広げられ、吐き気がした。
何が『近親相姦』だ。
「お前らが見て見ぬフリしてた、彩花へのイジメの一貫だろ」
バッサリ言ってやると、教師達は全員、苦々しい顔をした。
恐る恐るといった顔で、俺の担任が口を開く。若ハゲの、35歳独身男。
「じゃあこの写真は何なんだ」
「だから、イジメられて精神的に参った妹を、慰めてただけだ」
「お前が?」
「悪いかよ」
上からにらんでやると、担任はうつむいた。
「その怪我はなんだ」
「バイクでコケた」
俺は適当な嘘を繰り返す。
どうせこいつらは何もしてくれないんだから、正直に言う必要もない。
「じゃあ、こっちは何だ」
今度は彩花の担任が、違う紙切れを取り出した。
「2年の授業中に没収したものだ」
それは、前にヒナが言っていたものだった。
里美を罵倒する、嫌がらせのビラ。
想像していたより、よっぽど酷い言葉が並んでいる。
怒りが背中をザワザワと這い回る。
誰が、こんな……。
里美は、知っていたのだろうか。
たった一人で、あの小さな体で、こんな悪意を受け止めていたのか。
奥歯を噛んで、何とか冷静さを装う。
教師が気になるのは、里美が俺と夜な夜なバイクに二人乗りして暴走しているという箇所らしい。
「……さ…新川とつきあってた事はある。この写真の通りの事もした。けど、こんなアホなことするかよ」
「本当なんだな?新川に確認してもいいな?」
「確認って……待ってくれよ。もう俺達は別れた。関係無いんだ。そっとしといてやってくれよ」
「武内くん、一方の言葉だけを信じるわけにもいかないんだよ」
教頭が口を挟んだ。
「……それは、俺だからかよ……」
「んん?」
「俺の素行が悪いから、信じてもらえねぇのかよ!肝心のイジメは何ともしてくれねぇくせに!」
「誰も、そんな事……」
「じゃあもう、新川のキズをえぐるような事すんじゃねぇ!」