双子ですけどなにか?【修正終わりました】
彩花はその日から、学校を休み続けた。
もう1週間も経ち、さすがに両親も心配しはじめている。
部屋にも誰も入れず、ずっと引きこもってしまっていた。
「彩花」
ドアの外から呼びかけても、返事がない。
しかし拒否する返事もなかったので、一応「入るぞ」と言って、ドアを開けた。
中にはまた、布団虫になった彩花がいる。
テーブルの上には、母親が運んだ昼食のトレーがあった。
「おい、ほとんど食ってないじゃねぇか」
「……あげる……」
「要らねえよ、こんな冷えたの。てかもう夕飯だけど」
「いらない……」
ため息が出た。
毎日この調子で、こっちまで滅入ってしまう。
「学校に行けとは言わねぇからよ、メシは食えよ」
「いらない……食べたくない……」
「いつまでもそんな事言ってたら、死んじまうぞ」
「……もう死んでもいいよ……」
力の無い声に、胸が苦しくなる。
「いいわけねぇだろ、オイ」
無理矢理布団をはがしても、リアクションもせずに丸くなったまま、彩花は小さな声で話した。
「私、何かしたかなぁ……」
「…………」
「ただ誰かに認められたくて、頑張ったのに。目立つだけでいじめられるなら、この先ずーっと、そうなのかなぁ」
「……んな事、ねぇって……な?」
しかし彩花は返事をせず、ぐずぐずと泣きだしてしまった。
あの貼り紙の事が余程ショックだったんだろう。
彩花は家の中でも、俺にしがみつく事をしなくなった。
顔を見せて、泣く事も。軽口を叩く事さえ。
俺だけでなく、全身で、周りの全てを拒絶していた。
俺はただベッドの脇に座って、彩花の頭を撫でた。
こんな事で、何も楽になりはしないだろうけど。
少しでも、この手を通して、彩花の悲しみが移ってくればいい。
そう願いながら。
ずっと撫でていたら、やがて彩花はすうすうと寝息をたてはじめた。
「寝ちまったか……」
手を離して、残された昼食のトレーを持って部屋を出ていこうとした時、小さな声がした。