双子ですけどなにか?【修正終わりました】


玄関が、騒がしい。

目を開けた私に聞こえてきたのは、チャイムの音と、浮かれたようなお母さんの声だった。

誰か、歓迎するようなお客様でも来たんだろうか。

それとも、もしかして、ヒナや和樹くんが来てくれたのかな。

階段を上がってくる2つの足音に、動悸が早くなる。

1つは、晴人だろう。もう1つは誰?

誰でも、同じ。

今は誰にも会いたくない。


友達になれると思った美奈子ちゃんに撥ね付けられて。

大好きだった健先輩にも里美先輩にも、裏切られていた。

おまけに全然私を知らない人まで、私を憎んでる。


怖い……。

どうか、誰も私の部屋には来ませんように。


私は布団を深くかぶって、足音が聞こえないようにした。

しかし無情にも、私の部屋の前で、その足音は止まってしまった。

次に襲うのは、ノックの音。


やだ。怖い。

無視していると、晴人の声がした。


「彩花、開けるぞ」


嫌だ、と返事をする前にドアが開けられてしまう。

私はますます布団から出られなくなった。


「彩花、起きろ」


晴人の声がする。


やはり無視していると、もう一人の声がした。


「……彩花」


聞き間違えじゃないだろうか。

この声。まさか、まさか……。


「顔を見せてくれないか」


晴人より少し高い、優しい声。

どうして……。

そんなはずない。

あの人が来てくれるはずはない。


「オラ、いつまでもウジウジしてんじゃねえ!」

「いっ、いやあああん!」


いつものように、晴人に無理矢理布団を引き剥がされてしまって、悲鳴が出た。

パジャマで、髪の毛だってぐちゃぐちゃなのに。

こんな姿、あの人の前でさらさないでよぉ!

布団の向こうには晴人と、大好きだったあの人。


健先輩がいた。


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