双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「じゃあ、後はよろしくな」
晴人はそう言うと、さっさと部屋を出ていってしまった。
後にはボロボロの私と、何故か普通の顔の健先輩が残された。
「な、な、な、何で……」
さっき声を聞いた時から、心臓がバクバクいってる。
血液が昇ってきて、頬が熱い。
「キミが僕を呼んだんだろ?」
健先輩は少し眉を下げて、優しく言った。
そのままベッドの上に腰かける。
私は上半身を起こし、布団を手繰りよせて顔を隠した。
手櫛で髪を整えるけど、鏡がないから、整ったかどうかわからない。
「そんなに、嫌がらなくても」
「い、嫌がってません。ただ恥ずかしくて……」
「恥ずかしがる事ないよ。こんな姿、なかなか見られないし。得した気分だ」
健先輩は優しく笑った。
茶色かかった瞳が、細くなる。
布団の上から、それが少しだけ見えた。
何これ……。
喧嘩する前に、戻ったみたい。
ぶわ、と急に涙がにじんだ。
「あ、あの……あれ……あのビラ……」
「うん?」
「あれ、違うんです。私、晴人とは何も無いんです」
声が震えてしまうけど、この人だけには弁解しないと。
そんな私の気持ちはよそに、健先輩はため息をついた。
「それくらいわかるよ。あんなバカバカしい事、真に受ける方がどうかしてる」
だろ?、とこちらを見てきた健先輩と、目があってしまった。
また心臓がぎゅう、と締め付けられる。
「けど、ああいう物的証拠って反則だよね。それまで信じてた人を、一気に疑えるようになる。あのヘアピンみたいに」
健先輩は、視線を伏せた。
ヘアピン……。
健先輩と最後に生徒会室でした会話を思い出す。
『彼女なんて要らない』と言われた事を。
途端に悲しくなってしまい、ますます布団から出られなくなる。
そんな私に、健先輩は優しく話しかけた。
「あの時は……悪かった。つい、感情的になってしまって」
……え。
今、謝った?
健先輩が、謝った……。
布団から少し顔をのぞかせると、健先輩は困ったように笑った。