双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「布団から出てきてくれたら、あの時のキミの質問に答えてもいいよ」
「……え……」
「違うな、ごめん。どうもキミを見るといじめたくなって……話をしに来たんだ。ね、顔を見せて」
健先輩は指で布団を、くい、と下げた。
話をしに、来てくれた……そう言ったよね?
私は恐る恐る、布団をお腹まで下げた。
すると健先輩は、いいこいいこをするように、私の頭をなでる。
そして、制服の胸ポケットから、生徒手帳を取り出した。
開かれたそれには、古い写真が入っている。
「これ、誰かわかる?」
言われて、身を乗り出した。
写真には、小さな男の子二人と、女の子が一人写っている。
三人仲良く手を繋いで、にこにこ笑っていた。
「これって、もしかして……」
「そう。これが僕。真ん中が里美。こっちが、翔」
「わぁ……可愛い」
男性は二人とも面影はあるけど、やはり今の姿からはかけ離れている。
唯一里美先輩は、あんまり変わらないなぁという印象だった。
「幼なじみにしては、何か変じゃない?」
「え?」
言われて、写真を見直す。
すると三人とも、おそろいの靴を履いていた。
男の子二人は青で、里美先輩だけ、色ちがいのピンク。
「……いくら幼なじみでも、全員同じ靴を買うかな?」
「……お母さん同士がママ友、とか……」
「違うな。僕らの母親は、一人しかいない」
「えっ?」
そ、それってまさか……。
「僕たちは、彩花と晴人くんより、少し珍しいんだ」
まさか、まさか。
「僕たちは、三卵性の、三つ子の兄妹なんだ」
「えっ、えっ、えええええええー!!」
嘘だあ!!!!
双子だって学年に1組見るかどうかなのに、三つ子なんて!
「か、からかわないで下さいっ!皆、苗字が違うじゃないですか!」
驚きのあまり、思いっきり目をあわせてしまった。
健先輩は、苦笑してうなずく。
「うん……。それが、軽々しく話せなかった原因なんだ」
それまで聞いた事のない、寂しげな健先輩の声が、天井に消えていった。