双子ですけどなにか?【修正終わりました】
私と晴人も全然似てないけど、先輩達も似てない。
確かに、信じ難い話だ。
だけど、自分が双子だからか、驚きはしてるけれど、何故か疑う事はできない。
それに、文化祭の時、根拠のない晴人の『双子の勘』を信じてくれた。
それは先輩自身も『三つ子の勘』を感じた事があったからなんだろう。
「三井先輩が言ってた絆って、その事だったんですね……」
「そうだね」
「でも何で、三人ともバラバラに……」
健先輩が一瞬睫毛を伏せてしまった。
聞いてはいけなかっただろうか。
やがて健先輩は、ゆっくり口を開いた。
「里美が母親に、僕が父親に、翔は……子供ができなかった親戚に、養子に出されたから」
養子って……。
三井先輩の寂しげな目を、思い出してしまった。
「母親に経済的余裕はなかったし、父親はそういう人だから。
聞き分けが良かった僕一人なら何とかなるけど、やんちゃ坊主だった翔は親戚に引き取ってほしいと……まぁ、身勝手に話をつけてしまったんだ。
親戚はずっと子供が欲しかったけどできなかった人達で、温かく翔を迎えてくれた。だけど翔は、両親に捨てられたと、当時はかなり落ち込んだな。
その時に、僕は言われたよ。健のせいだ、健が何でもできて、イイ子ぶってるからだって」
三井先輩……。
体育祭の時に、言ってたのはこの事だったんだ。
『あいつは、俺が欲しかったものは全部奪っていく』
『それって、俺が悪いわけ?』
自分が悪いのか。
自分はお父さんと一緒にいたいのに。
健に奪われた。イイコぶってる健に。
そう思いながら、毎日過ごす苦しさは、どれくらいのものだっただろう。
うつむいていると、ふわ、と髪をなでられた。
「ほら、暗くなっちゃうだろ?だから話したくなかったんだ。彩花は優しいから、翔に同調しちゃうだろ?」
「そんな、優しくなんかないです。三井先輩の辛さなんか、全然わかりません……」
「そう。わからないのにわかったふりしないだろ。翔も僕もひねくれものだから、そういう正直なところに惹かれちゃうんだ」
「……な、何を……」
照れてしまうと、健先輩は苦笑した。