双子ですけどなにか?【修正終わりました】


顔を見ただけで涙が出そうになるのを、必死でこらえた。

ヒナは不思議そうな顔をして、私を見た。


「これ、何?なんで私が、呼び出されたの?」

「ヒナ……」


私が口を開こうとしたのを、健先輩が止めた。


「僕から説明しよう」


そう言うと、晴人と私を挟むように、寄り添ってくれた。

ヒナは眉をひそめる。

うまく話せないであろう私の代わりに、健先輩が口を開く。


「彩花と晴人くんを中傷するビラを作ったのは、キミか?」


単刀直入に、健先輩はハッキリと言った。

ヒナは、びっくりしたような顔をする。

お願い、私達の勘違いだって言って。

しかし、次の瞬間。

ヒナは、何という事もない顔で、ため息をついた。


「何だ、意外と早くバレちゃったんだ」


事態の重さを全く感じさせないその言葉は、私の胸を突き刺した。

ヒナはいたずらを見つかった子供のように、ポリポリと頭をかいた。


「なんで……」


喉から出た声が、かすれてしまった。

代わりに、頭上から獣のうなり声のような晴人の声が降ってくる。


「コンビニで、あれをコピーしてるお前を見かけたやつが、教えてくれた。防犯カメラも確認させてもらった。けど……違うなら違うと、言ってくれよ」

「違わないよ。私がやった。しかし美奈子ちゃんに見つかったのは、失敗だったなぁ。せっかく彩花を庇うフリして遠ざけたのに。本当にうちのプリンター壊れててさ、仕方なくコンビニに行ったんだ」


あっさりと答えたヒナの言葉に、私も晴人も何も言えなくなってしまった。

確かによく考えれば、あの日、私達が海に行った事を知っていたのは、直前に電話をしたヒナしかいない。

足が、全身が震えだす。


「何であんな事をしたか、教えてくれないかな」

「何でって……」


健先輩の質問に、ヒナはまためんどくさそうにため息をついた。

そして、私の方を見た。

見たことのない、どんよりとした冷たい目で。


「ただアンタを、悲しませてやりたかった」

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