双子ですけどなにか?【修正終わりました】
ヒナの声が屋上に吹く冷たい風のように、私の頬を殴る。
「ただ、昔から嫌いだったんだよね、アンタの事が」
なんて……?
今、なんて言った……?
昔から、嫌い……。
「何でだよ。中学から、仲良かったじゃねぇか」
「そうだね。中学の頃は良かったな。こんな、誰もが羨むような美少女がハブられててさ。そばにいると、優越感に浸れたよ。私はこいつより、マシだって」
「そんな……」
「おかしくなったのは、高校生になってからだね。落ちて恥をかけばいいと思って薦めた生徒会に、受かっちゃってから」
信じられない言葉の羅列に、頭が痛くなってきた。
昨日ヒナの名前を健先輩から聞いた時は、嘘だと思った。
たった一人の友達だと、信じていたのに。
「面白くなかったな。優越感に浸れなくなっちゃって。好きな人ができて輝いてたアンタを見たら、本当にイライラした。幸せを身体中に纏っててさ。
だから文化祭の時にお灸をすえてやろうと思って、先輩達をけしかけたのに。逆に会長とくっつけるきっかけになっちゃうとはね。晴人くんを閉じ込めるのとか、鍵の細工とか、結構苦労したのに」
「ヒナ……冗談も大概にしろよ」
呆然としている私の横で、晴人がうなった。
「何よ、話せって言ったり、やめろって言ったり」
「だって、わけがわかんねぇ」
「何でわからないの?これっていうきっかけは無いの。ただ嫌いなだけ。本当は弱いくせに強がって、そのくせ被害者ぶってるその子がね」
その子……。
もう、名前も呼んでくれない。
「わかりやすく言えば、嫉妬かな。綺麗な容姿も、仲の良い家族も、居場所も、彼氏も、全部抱えたアンタが、憎かった。そのどれも、私には無いから」
憎かった。
そう言ったヒナは、私をにらんだ。
「だから、机に誰かが落書きしてくれたり、会長とアンタがもめた時は、小躍りしたよ。決定的に、私よりダメなアンタに戻したかったから。会長と里美先輩を張ってたら、あんな写真も撮れたし」
「あれも……お前がやったのか。もしかして、里美のビラも……」