双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「晴人、カッコイイ!ぷ、ぷははははっ!」
「テメェ、笑うなっ!」
冬休み初日。俺は、髪を切った。
いい加減伸びてうっとおしかったのもあるけど、2学期の一連の騒動で、周りに迷惑をかけないためには、目立たないようにするのが一番だと思い知ったからだ。
なるべく爽やかにしようと思ったが、元々の顔のせいで、刑務所帰りのチンピラみたいになってしまった。
「いや、良いよ、見慣れないだけだよ、ワックスつけたら何とか……うひひひひ」
「うるせぇ、慰める気があるのか無いのか!」
「あるわけないじゃん、ヒヒヒ、フフ」
彩花は腹を抱えて笑い転げている。
その姿は、イジメられる前の姿、そのものに見えた。
「ったく……お前が出かけるっつうから朝イチで終わらせて来たのに。もういい、勝手に一人で行け」
「あ、ごめん。やだーハルちゃん、送ってってよぉ」
「ハルちゃんはやめろ!」
彩花はすっかり元気になった。
しかし今日ばかりは、それがカラ元気なのを、俺は知っている。
それは昨日突然頼まれた、今日の予定に起因した。
「行くぞ。支度できてんのか」
「あぁ……うん。待って、防寒してくるから……」
彩花はそれまでの笑いを不自然にこびり付かせたまま、のろのろと支度をした。
俺までため息が出そうになるが、何とか押し殺した。
今一番キツいのは、彩花だ。
俺達は、これから……ヒナに会いに行く。
「出すぞ」
「はーい」
バイクの後ろで俺にしがみつく彩花の声は、やけに明るかった。
きっと無理してるんだろう。
三井がどこからか得てきた情報で、ヒナの引越が今日だと知ったのは、つい最近の事。
メガネはあのチャラ男が、女教師をたらしこんで調べたのだとか言っていた。
『晴人……やっぱり、最後に会っておこうかな』
彩花がそう言い出したのは昨日。
もう美容院を予約した後だった。
『お願い、一緒に行ってくれない……?』
うつむいてそう言われ、俺は午後の予約を朝イチに変更した。