双子ですけどなにか?【修正終わりました】
ヒナの家は、バイクで行けばあっと言う間についてしまう。
少し遠くから見たその家は、ちょうど荷物を積み出したところに見えた。
「……近くまで行くか?」
「……うん……」
俺の腰に回された手に、少し力が入った。
バイクを降りて押していく横を、緊張した顔の彩花が歩いていくと。
「あっ」
家の前に止まったトラックの影から、ちょうどヒナが現れた。
もちろん何の約束もしてなかったので、ヒナも驚いた顔をする。
「ヒナ……」
「……何しに来たの?」
冷たい受け答えだった。
彩花はそれで、何も言えなくなってしまう。
代わりに俺が口を開いた。
「……元気でな、って、言いたいんだと」
彩花はうつむき、ヒナは黙った。
「……あと……何だっけ?」
「自分で言う……」
「そうか……」
彩花は俺のジャケットの裾を持っていた指を離して、一歩ヒナに近寄った。
「……ヒナ……。ごめんね。私、ヒナの話を聞こうともしなかった」
「あぁ、離婚の事?別に……話したくなかったし。同情ならやめてよ。ホント、ムカつく」
ヒナは背を向けて家の中に入っていこうとする。
それを彩花が止めた。
「ムカつけばいいよ。嫌いで結構だよ。でも私にとっては、アンタは友達だったんだ」
「……うざ……」
ヒナは足を止めたが、振り向かない。
しかし彩花は語りかけ続けた。
「……ありがとう、ヒナ。そばにいてくれて……」
「……バカじゃないの」
「バカでいい。ありがとう。ありがとう、ヒナ」
彩花の言葉は俺には理解できないけど……ヒナには届いたんだろうか。
彼女は黙ったまま、こちらに向き直った。
「いつか、本当の友達ができたら教えて。好きな人ができたら教えて。私、ずっと待ってるから」
「また、そんな勝手な事ばっかり」
「ごめん……」
「……気が向いたらね」
消えそうなほど小さな声で言われた言葉を、彩花は聞き逃さなかった。