双子ですけどなにか？【修正終わりました】

「うん……元気でね……」


涙ぐんだ彩花は、震える声を必死に隠して、明るく言う。


「アンタに心配なんか、されたくないよ」


きっぱりと言って、ヒナは玄関の戸を閉めた。

それが、最後だった。


彩花は我慢していた涙をポロポロと流す。


「……行くぞ」

「うん……」

「……ほら、泣くな。これからメガネのとこに行くんだろ？ちゃんと話できたって、ほめてもらえ」

「……うん、うん……」


俺は初めて、彩花を偉いと思った。

俺なら間違いなく、ありがとうなんて言えない。

どんなに撥ね付けられても、向かっていけるなんて。

お前は偉いな、彩花。

きっとメガネもほめてくれる。


冷たい風の中で泣いた彩花の肩を少しだけ抱いて、涙が止まるのを待った。

すっかり俺に甘える事を覚えた妹。

彼女を恋人の元に送り届けるのは、いつも少しだけ寂しかった。