双子ですけどなにか?【修正終わりました】
指定されたショピングモールまで送っていくと、もう太陽はすっかり上に昇っていた。
「ありがとね」
駐車場で彩花を降ろすと、冷たい風がビュウ、と吹いた。
「おう。帰りはメガネに送らせろよ」
それにしても、腹が減ったな。
昼飯まだだもんな……何か食っていくか。
そんな事を考えてぼんやりしていた俺の腕を、彩花ががしっとつかんだ。
「何だよ」
「晴人、暇だよね?」
「イヤミか。暇に決まってんだろ」
「じゃあ、ちょっとつきあってよ」
「はぁ?」
わけがわからないでいると、バス停からこちらにメガネが向かってくるのが見えた。
そして、もう一人。
「三井!」
「よっ、武内兄妹♪」
三井はチョリース、と二本の指を額に当て、チャラい挨拶をした。
「アニキ、すげぇ男前!」
「こりゃまた、さっぱりしたねぇ」
男二人は俺を見てもバカにしなかった。
女受けは最低だが、男受けはまぁまぁらしい。
「まぁ、寒いから中に入ろうじゃないか」
メガネに促され、何故か四人そろってショピングモールのフードコートに場所をとった。
……何故だ。
目立たずに生きていこうと決めたのに。
はたから見たら美少女の彩花、チャラ男の三井、好青年なメガネ。
それにヤンキー大男の俺が加わり、アホみたいに周りに指をさされていた。
「……俺、帰るわ」
「コラコラ、待ちなさい」
「はぁ?」
メガネに命令され、イラっとする。
こいつ、将来は俺の義弟(と俺は決めつけている)のくせに、相変わらず偉そうだ。
「キミ、生徒会室での約束を忘れたわけじゃないよな?僕が彩花を助けたら、何でもすると」
「あ、悪い……忘れてた」
「まったく、困ったお兄ちゃんだね」
「ねー♪」
メガネと彩花は顔を見合わせて笑う。
誰がお兄ちゃんだ、気持ちワリイ。
こんなやつに土下座なんかした事も、当然彩花は知っている。
ツッこまれた時は、死のうかと思った。
「今日はその約束を果たしてもらうよ」
「なんだよ、何かおごれっつうのか。金ならねぇぞ」