双子ですけどなにか?【修正終わりました】


指定されたショピングモールまで送っていくと、もう太陽はすっかり上に昇っていた。


「ありがとね」


駐車場で彩花を降ろすと、冷たい風がビュウ、と吹いた。


「おう。帰りはメガネに送らせろよ」


それにしても、腹が減ったな。

昼飯まだだもんな……何か食っていくか。

そんな事を考えてぼんやりしていた俺の腕を、彩花ががしっとつかんだ。


「何だよ」

「晴人、暇だよね?」

「イヤミか。暇に決まってんだろ」

「じゃあ、ちょっとつきあってよ」

「はぁ?」


わけがわからないでいると、バス停からこちらにメガネが向かってくるのが見えた。

そして、もう一人。


「三井!」

「よっ、武内兄妹♪」


三井はチョリース、と二本の指を額に当て、チャラい挨拶をした。


「アニキ、すげぇ男前!」

「こりゃまた、さっぱりしたねぇ」


男二人は俺を見てもバカにしなかった。

女受けは最低だが、男受けはまぁまぁらしい。


「まぁ、寒いから中に入ろうじゃないか」


メガネに促され、何故か四人そろってショピングモールのフードコートに場所をとった。


……何故だ。

目立たずに生きていこうと決めたのに。

はたから見たら美少女の彩花、チャラ男の三井、好青年なメガネ。

それにヤンキー大男の俺が加わり、アホみたいに周りに指をさされていた。


「……俺、帰るわ」

「コラコラ、待ちなさい」

「はぁ?」


メガネに命令され、イラっとする。

こいつ、将来は俺の義弟(と俺は決めつけている)のくせに、相変わらず偉そうだ。


「キミ、生徒会室での約束を忘れたわけじゃないよな?僕が彩花を助けたら、何でもすると」

「あ、悪い……忘れてた」

「まったく、困ったお兄ちゃんだね」

「ねー♪」


メガネと彩花は顔を見合わせて笑う。

誰がお兄ちゃんだ、気持ちワリイ。

こんなやつに土下座なんかした事も、当然彩花は知っている。

ツッこまれた時は、死のうかと思った。


「今日はその約束を果たしてもらうよ」

「なんだよ、何かおごれっつうのか。金ならねぇぞ」

< 406 / 429 >

この作品をシェア

pagetop