双子ですけどなにか?【修正終わりました】
メガネは呆れた顔で、コーヒーを飲んで息を吐いた。
「そんなんじゃないよ。僕の出す要求は」
三井と彩花はニヤニヤしながら、それぞれ注文したハンバーガーを食べている。
「じゃあ何だよ」
「明後日の理事長主催のクリスマスパーティーのガードマンを頼みたい」
「……はあぁ?」
メガネは落ち着いた顔で言った。
二人は笑ってうなずく。
……頭が痛い。
「またかよ……」
「キミがいるだけで、浮かれて狼藉を働こうとするやつらが萎縮するからね」
キミがいるだけでって、ラブソングのタイトルか。
「何でもするんだよな?」
メガネは心底意地悪い目で笑いながら俺を脅す。
本当に……彩花はこんなやつのどこが良いんだ。
「……わかった、行きゃ良いんだろ」
「そう。それで、パーティーは正装してもらわなきゃいけないから。翔と服を選んでおいで」
「その分の資金は、ちゃんとお母さんにもらってきたから♪」
「はあぁっ?」
待て待て、このバカップルは何を言いだすんだ。
何が悲しくて、三井と服を選ばなきゃならない。
「俺はスタイリストとして呼ばれたんだ。さっ、バカップルはほっといて行こう、アニキ」
「マジかよ……」
「翔が一番、そういうのは得意だからね。僕達はお互いの服を選ぶのに、忙しいから」
「ねー♪」
……俺は何か、ものすごく間違えた気がする。
この一年、間違いだらけだ。
俺は仕方なく、三井とショピングモールを歩き出した。
背後に彩花のキャピキャピした声が聞こえて、ため息が出る。
妹のためだったとはいえ、めんどくせぇ約束をしちまったなぁ……。
「三井、このまま帰らねぇか?」
「ダメー。そしたら間宮に俺がボコられる」
「ひでぇ兄貴だな……」
三井はひゃひゃひゃ、と笑った。
俺は導かれるまま、手頃な値段の店に入って、着せ替え人形になった。
正装と言えばスーツだ。
しかし俺が間違ったスーツを着ると、チンピラになる。
三井はうまく、そう見えないスーツを選んできた。
もうどうでも良かった俺は、三井に丸投げした。