双子ですけどなにか?【修正終わりました】
会場となるホールは、理事長の私物らしい。
絨毯が敷き詰められた床に、シャンデリアがぶらさがる天井。
二階に続くのは、映画で見た豪華客船にあるような、螺旋階段。
……こんなもん作る金があるなら、学費安くしろよ……。
そんな事を思っているのは俺だけだろうか。
自由参加だから全校生徒では無いだろうけど、大勢の生徒が正装して参加しているようだ。
いくつも並べられたテーブルには、それぞれ食べ物がある。
いわゆるビュッフェ形式の立食パーティーというやつだ。
彩花の話によれば、このイベントで結ばれるカップルが、毎年何組かいるらしい。
「おぉ。さすがだな……」
柱の影で、三井が女に囲まれてる。
さすがとしか言い様がない。モテるのもあそこまでいくと才能だ。
「あ……コラコラ」
男子のグループ同士が、今にも喧嘩をはじめそうな雰囲気を出したので、俺はそちらに声をかける。
「どうした」
「いや、こいつらが邪魔すんだよ」
「違うだろ、俺らが先に声かけようとしたのにお前らが横入りを……」
どうやら女子グループにどっちが先に声をかけるかでもめてるらしい。
……くだらねぇ……。
「あぁ、わかったわかった。よし、俺と喧嘩して勝ったやつから声をかけろ」
「え……」
「それはちょっと……」
男子は皆ビビった顔をした。
俺に勝てるわけはない事は、わかっているらしい。
「じゃあジャンケンしろ、ホレ」
「じゃ、ジャンケン……」
「ポン……」
「はい、じゃあお前らが先な。もめたらどうなるかわかってんだろうな、あぁ?」
「わ、わかりました……」
壁際に戻りながら、ため息が出た。
うっかり目があったメガネは、笑ってうなずく。
ったく、人を用心棒扱いしやがって……。
それからも、そんな小さないざこざをいくつか処理した。
「晴人!正義の味方♪」
「和樹……後で殴るぞ」
明るく声をかけてきた和樹は、何故か一人だった。
後ろの方に何人か女子を待たせている。
「晴人、今日すげぇじゃん」
「何がだよ」