双子ですけどなにか?【修正終わりました】


彩花が俺の背中をぱちんと叩いた。


「生徒会長がいなくなってどうすんの。アンタが行きなさいよ、平社員」

「んだよ、そりゃ……」


里美は相変わらず、うずくまっている。

よっぽどしんどいらしい。

しびれを切らしたのか、メガネが立ち上がって、俺を見つめた。


「……何でもするって、言ったよな?」


その顔は笑っているが、眼光は完全に俺様バージョン(命名彩花)だ。


「待てよ……。言われた通りに、真面目に働いてただろうが……」

「うん。この任務で、今日の仕事は終わって良いから。ほら、早く」

「……鬼畜メガネ……」

「うん?何だって?」

「わかったよ!運びゃ良いんだろ、運びゃあ!」


半ば脅すようにされて、仕方なく床に膝をついた。


「全然、歩けねぇか?」


一応聞いてみる。

すると本人が返事をする前に、彩花のハイヒールが背中をえぐった。

つべこべ言わず、黙って抱き上げろと言う意味だ。


「いてっ!いてぇ!やめろ、わかった、わかったから!」

「はい、先輩のコート!じゃあ、よろしくね!」


いつの間に用意したのか、彩花が里美のコートを押しつけてくる。

何ていう奴らだ。

こんな奴らが生徒会役員なんて、世も末だ。


「しょうがねぇな……行くぞ」


全く力が入らないらしい里美を、お姫様のように抱き上げる。体育祭の時のように。


「おぉー」

「ホントにお姫様みたい」


会場を出るまであちこちから指をさされてしまう。

また目立っちまった……もう嫌だ。

会場を出る直前、最後に見たメガネと彩花は、二人とも悪い顔で笑っていた。


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