双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「わ、わかってますよ、子供じゃ無いんだから!この前だって、そんな話したじゃないですか」
「あぁ、明るいのは嫌って言ってたね」
健先輩は意地悪に笑って立ち上がり、スタスタとスイッチがある所まで歩く。
そしてパチンと音を立てて、照明を落としてしまった。
その暗さに目が慣れないうちに、足音だけがすぐ近くに忍び寄って、私を、抱きしめた。
「……嫌なら今言わないと、大変な事になるよ」
暗闇の中、健先輩の声がぽつりと響く。
合わさった胸から伝わってきた健先輩の温かな鼓動は、思ったよりも早いリズムを刻んでいた。
何故かそれに少し、安心する。
自分だけが溺れていた、片想いの時とは違う……。
私はそっと、その背中に手を回した。
そして。
「大丈夫です……」
そう返事をした。
……それからの事は恥ずかしくて、誰にも話せない。
「……やっと、ここまでたどり着いたね」
そう先輩に言われた時、本当にそうだと思った。
春に出会って。
夏に、少し違う顔を知って。
秋に、想いが通じたと思ったら。
すぐに色々な事があって、一度離れてしまった。
だけど……。
肝心な時は、いつも守ってくれた。
私を、選んでくれた。
時には悪魔のような魅力で私の心を縛りあげる、大好きな人。
その人と。
やっと、ここまでたどり着いた。
やっと、ひとつになれた。
きっとこれからいくつもの季節を一緒に越えるんだろう。
ただ今は。
好きな人の腕の中で眠る幸せを知ったばかり。
ねぇ、健先輩。
卒業して、大人になったら。
もっとロマンチックな所に、たくさん連れていってね。
もっと色んな事、私に教えてね。
そしていつか。
また、私にウェディングドレスを選んでね。
今夜の雪より、ずっと深く降り積もる想い。
ずっと。
ずっと。
いつまでも、そばに置いてね。
寒い夜は抱きしめてね。
私があなたを、温めるから。
ずっと、ずっと。