双子ですけどなにか?【修正終わりました】
結局、会場から30分くらい歩いてようやく、里美のマンションにたどり着いた。
エレベーターに乗り、部屋の前までおぶっていく。
呼び鈴を押そうとしたら、里美に止められた。
「大丈夫……降ろして……」
ゆっくり背中から降ろすと、少し楽になったのか、里美は立ったままバッグから鍵を取り出した。
「家の人は……」
「へ、へへ、お母さんだけなんだけど、滅多に、いないの……しかもクリスマスだし……」
「仕事か?」
「うん、昼は仕事で……夜は彼氏のところ……」
鍵を開けると、里美は真っ暗な玄関で足を取られ、転んだ。
「何やってんだよ……」
「ね、ねえ……何やってんだろうねぇ……」
玄関に座ったまま力無く笑う顔が、見た事がないくらい寂しげで、寒さも立場も忘れて、話しかけていた。
「薬はあるか?何か、要るものとか……」
「大丈夫……ありがとう……」
「部屋は?」
「あっち……」
「わかった」
乱暴に靴を脱がせ、もう一度抱き上げると、彼女は小さな悲鳴を上げた。
「いや、ダメ、見ないで、散らかってるから……」
「そんな事言ってる場合か!」
一喝すると、里美は黙り、俺に従った。
部屋のドアを開け、ベッドにその身体を沈める。
「薬はどこだ。持ってきてやる」
「あ、あの、キッチンの棚に……」
言われた箇所を探し、食器棚から勝手に出したコップに水を入れて持っていく。
「飲め」
片手で上半身を起こすと、里美は素直に薬を飲んだ。
「着替えられるか。その格好じゃ寝れないだろ」
里美は未だに、ドレスの上にコートという格好だ。
「あ……うん、着替える……」
「おう。何だ、大丈夫そうだな」
「大丈夫と言うか……この状態に慣れたと言うか……」
「そうか……って、オイ!」
意識が朦朧としているのか、里美は俺が居る目の前で、服を脱ぎはじめてしまう。
「背中……届かない……」
「わかった、背中だな」
彩花のドレスも背中にファスナーがあって、俺が上げてやったから、何となく察しがついた。