双子ですけどなにか?【修正終わりました】


でも、本当に脱がせていいのか?

ええい、相手は病人だ。しょうがない。

決心して、もたもたしている里美の背中を開けてやった。その時。


「きゃあああああっ!!」


彼女の悲鳴に耳がやられるのと同時に、目の前に星が飛んだ。

そう。里美に、思いっきり頬を打たれたんだ。

その事に気づくのに、少し時間がかかった。


「……ってぇな、コラァ!!」

「な、な、何でいきなり脱がすのぉぉぉ」


里美はまたコートを羽織り、ボロボロと涙をこぼしはじめた。

こいつ、熱でイカれてやがる。


「テメェが届かないって言ったからだろうが!!」

「だからって、だからって……」

「だあぁ、泣くな!もう帰るから。それで良いだろ!」

「えっ、やだ、一人にしないでえぇぇ」

「テメェ、酔っ払いかよ!」


怒鳴られた里美はうわあぁんとしばらく泣いたあと、コテンと横になって寝てしまった。

全く、何だこいつ……。

毛布と布団を被せてやると、自分の気持ちもだんだん落ち着いてきた。

周りを見ると、散らかってると言ったわりには綺麗な、女の子の部屋がある。

棚には本がたくさん並んでいて、ベッド脇にはぬいぐるみが何体か転がっていた。

カーテンの隙間から見えた夜空には、まだ雪が舞っている。


……この雪がやんだら帰るか……。


先ほどの寂しそうな顔が、目の前をちらついた。

母親は、子供を放って男のところへ行ってる、か……。

たくさんいると言っていた猫は、さっきキッチンに行った時に見た。

こちらを警戒して、寄ってこようとはしなかったけど。

こいつ、猫と一人で暮らしてるのか。

そんな寂しそうな様子、一度も見せなかったのに。

そりゃ、兄や父親のところに遊びにも行くよな……。

それを何で、責めたりしたんだろう。

知らなかったと言えば、それまでだけど。

そんな事を思っていたら、眠気が襲ってきて。

背中をベッドにつけて床に座ったまま、いつの間にか眠ってしまった。


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