双子ですけどなにか?【修正終わりました】


目を覚ますと、部屋の中はすっかり明るくなっていた。


「……また寝ちまった……」


そう言えば、体育祭の時もそうだった。

自分も保健室で寝て、里美に起こされて……。


「って、あれ?」


膝の上に、毛布がかかっている。

振り返ると、ベッドの中には誰もいなかった。

これはどういう事かと重たい腰を上げると、ドアが開いた。


「あ、起きた?」


そこからのぞいたのは、私服に着替えた里美だった。

そのまま俺の前に、ちょこんと座る。


「お前、熱は?」

「ひゃんっ」


その前髪をわけ、手をあてる。

すると、完全に自分よりも冷たくて、安心した。


「薬、効いたか……もう大丈夫だな」

「うん……ありがとう……」

「あ……悪い……」


里美の顔が赤くなり、その額に触ったままだった事に気づく。

慌てて手を離し、立ち上がった。


「じゃあ……お大事に」


早く帰らなければ。

そう思うが、着てきたコートが見当たらない。

まごまごしていたら、寂しげに声をかけられてしまった。


「帰っちゃうの……?」


彼女も立ち上がり、目を見られてしまった。


ヤバイ。これはダメだ。


「帰った方が良いだろ……」

「そんな事ないよ」

「無理すんなよ……お前、俺の事怖いんだろ?」

「あああ、あれは……っ……」


怖い、と言われたあの時の事を思い出したのか、里美は急に真っ赤な顔をした。


「昨日もただ手伝っただけなのに、殴られたし」

「あ、やっぱり、背中……」

「覚えてねぇのかよ。本当に手伝おうとしただけだからな」


イカン。思い出したら、恥ずかしくなってきた。


「うん……。ごめんね、ありがとう……」


里美は赤くなりながら、素直に礼を言った。

そして俺の顔を、その黒目がちな瞳で見上げた。


「……私と健くんと翔くんの事、聞いたんだよね……?」

「あぁ……」

「ごめんね、なかなか話せなくて」

「……良いって。軽々しく話せる事じゃないだろ」

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