双子ですけどなにか?【修正終わりました】


里美先輩の顔をよく見ると、何故か違和感があった。


前に会った時とは、どこか違っているみたい。


「あっ、里美先輩、前髪切りました?」


気づけば、斜めに流してあった長めの前髪が、ちょうど眉毛を隠すように切り揃えられている。


「うん、お気に入りのピンをどこかになくしちゃって……邪魔だったから、切っちゃった。
へへ、こけしみたいでしょ」


そう言って照れくさそうに笑った里美先輩は、年上とは思えない、子供のような無邪気な顔をしていた。


「あ、時間なくなっちゃうよ!」

「そ、そうでした!」

「はは、二人ともおっちょこちょいだな」


そして、それぞれの演説内容を静かに確認し、一旦教室に戻った。



「彩花~がんばってよ!」


「ありがとう、ヒナ。あー、緊張する……」


並んで体育館に移動する途中ヒナと話していると、他のクラスメートも話かけてくれた。


「がんばってね、武内さん。クラスの星♪」

「大丈夫だよ、信任投票だもん。気楽にねっ!」

「うん、ありがとう!」


家ではいつも強気なあたしも、学校では普通の人見知り。


だから、こんな風に話をできる事が、すごく嬉しい。


よし、がんばるぞ!


私は気合いを入れ、舞台袖へ向かった。

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