双子ですけどなにか?【修正終わりました】


まず校長先生の長いお話から、全校集会は始まった。


生徒会立候補者は、舞台の袖で自分の出番を待っている。


うわああ、緊張する……。うまくしゃべれるかな。


心臓がドキドキと脈打ち、頬が熱くなってきてしまった。


『では次に、生徒会役員の信任投票演説にうつります』


マイクを通したアナウンスが流れ、一番の予定の健先輩が、候補者全員に向かって言った。


「いよいよ出番だね。気楽に行こう」


綺麗に磨かれたメガネの奥で、優しい目が笑う。


『生徒会長に立候補、2年 間宮健君』


舞台袖の上にある放送室から名前を呼ばれ、健先輩は舞台への階段を上がっていく。


その背中は意外に広くて、とても頼もしく感じられた。


先輩、頑張れ。


私は心の中で、そう応援した。


だけど、彼に応援なんかは必要ない事は、わかっていた。


全校生徒に向ける横顔には、一点の曇りもなかった。


『2年 間宮です。皆さん、おはようございます』


優しいけれど、力強い声が体育館に響く。


そして、私の胸にも。


あぁ、すごい。かっこいい。


優しいのに、意思の強さが伝わってくる瞳。


その瞳とお揃いの声。


私も、健先輩みたいに、なりたいな……。

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