不良狼の一途な溺愛
「柚…。」
そっと囁かれてビクッと体が跳ねる。
耳元に全神経が集中する中、蓮君の言葉は続けられた。
「俺の傍に居ろよ。」
「えっ…」
「いつも、傍に居て欲しいのは柚だけ。」
「ま、待って!いきなり何!?」
パニックになって慌てふためく私を、蓮君は少し強く抱きしめた。
「お前を独占したい。」
「えぇっ、ちょっと!!」
なんて物騒なことを言いだすんだ、この人。
蓮君に独占されたら、恐怖と威圧感で心労が絶えないに決まってる…!
早崎さんみたいに、蓮君に好意を抱く女の子なら、泣いて喜びそうなセリフだけど、私にとっては憂鬱そのものだ。
「そ、そんなこと言われても困るよ…」
いくら怖くても、黙っていられない。
勇気を振り絞って弱々しい声で反論してみた。