不良狼の一途な溺愛
「そんなにデカい声出すなよ。ビックリしただろうが。」
「それは、私のセリフだよっ!!なんで、わざわざヘンな取り方するの!?」
ハンカチで事足りたのに…!
おかげで、心臓がバクバクと慌ただしく動いていて、うるさいったらありゃしない…。
不満をぶつけたけれど、蓮君は動じていないみたいだ。
「別にヘンじゃねぇだろ。普通。」
「普通じゃないってば!私はハンカチで拭おうと思ったのに!!」
「体が勝手に動いたんだから仕方ねぇだろ?俺にとって柚は特別。もっと近付きたいし、もっと触れたいんだよ!!」
「えっ?」
少しイラついたような声を発した蓮君に、私は驚きのあまりパチパチと瞬きを繰り返した。
私…蓮君に逆ギレされてるような気が…。
な、なぜ…?
疑問符が頭の中をフワフワと彷徨う中、蓮君は慌てた様子で立ち上がった。
「じゃ、じゃあな。俺…先に帰る。日曜日の約束、絶対に忘れんなよ。」
「ちょっ……蓮君!?」
一体、なんなの??
今日の蓮君、笑ったり…怒ったり…照れくさそうにしてみたり。
やけに、目まぐるしく表情が変わってたな…。
素早く屋上から出ていく蓮君の後ろ姿を見ながら、私は思いっきり首を傾げた。