不良狼の一途な溺愛

強制デートの始まり


「はぁ……。」


とうとう迎えてしまった日曜日。


私は朝からため息の連続だ。


“11時に駅前の噴水広場に来い”って、蓮君に言われてるから、もう少し経ったら家を出ないと…。


何度も時間を気にしつつ、落ち着かない気持ちを紛らわせるため、自分の部屋の中をウロウロと歩きまわっていた時だった。


「柚〜!」


ガチャリとドアが開き、お母さんが顔を覗かせた。


「沙織ちゃんが来たわよ!」


「えっ、沙織が?」


何か用事かな…?


そう思っていると、お母さんの後ろから、沙織がひょっこりと顔を出した。


「よっ!」


ニコッと爽やかな笑顔が私に注がれる。


お母さんが部屋を出ていった後、沙織は私の傍に駆け寄ってきた。


「今日、すごくいい天気だから、柚と一緒にショッピングに行きたいなぁ…と思って、いきなりだけど誘いに来ちゃった!」


「すっごく行きたいっ!!行きたいんだけど……」


私は言葉を濁らせた。



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