不良狼の一途な溺愛
「せっかく来てくれたのに、本当にごめんねっ!私、そろそろ出掛けなくちゃ…。」
小さなバッグを持って、部屋のドアを開けようとした私を、沙織は慌てて引き留めた。
「ちょっと待った!!柚、その服で行くの?」
「うん、そうだよ。」
サラリと答えると、沙織に驚いた表情をされてしまった。
今日はジーンズにグレーの薄手のパーカー。
そして肩より少し長い髪の毛は普段と同じように、そのままおろしている。
目立たない普通の服装だし、特に変じゃないと思うんだけど…。
「ダメよ!デートなんだから、もっと可愛くキメて行かないと!!」
「い、いや…そもそもデートじゃないし…」
「よーしっ!こうなったら私がコーディネートしてあげるっ!!」
「ちょっと、沙織!?」
私の言葉に構わず、沙織はクローゼットを漁り始める。
そして10分後。
見事に違う服装へと変えられてしまった。