不良狼の一途な溺愛
わわっ。
ちょっと遅刻だ…!!
着替えなおしていたことが影響してしまい、駅前に着いたのは11時過ぎだった。
蓮君、もう来てるんだろうか…。
いや、不良なんだし…時間にキッチリ来てるはずないよね…。
勝手に決めながら、待ち合わせ場所の噴水広場へ行ったけれど、すぐに赤メッシュの入った金色の髪が目にとまった。
ま、マズい…。
蓮君…もう来てる。
私の予想に反して、時間通りに来ていた蓮君を見て、冷や汗が背中をつたった。
とにかく急がなくちゃ。
腕時計を見ながら、俯き加減で立っている蓮君のところに慌てて駆け寄った。
「あ、あの…蓮君、お待たせ…。」
おそるおそる声を掛けると、蓮君はハッと気付いて顔を上げた。
「柚…だよな?」
「うん…。」
コクンと頷くと、蓮君は凝視したまま無言になってしまった。
こ、これは…ヤバイ。
絶対に怒ってる。
とりあえず謝るしかないと思った私は、ガバッと頭を下げた。