不良狼の一途な溺愛
いきなりの甲高い声に、ビクッと体が震える。
おそるおそる振り向いた途端、見知らぬ女の子たち数人が、蓮君の周りにバタバタともの凄い勢いで駆け寄ってきた。
「ひゃっ!」
その拍子で繋いでいた手がパッと離れる。
蓮君は、女の子たちにグルッと囲まれてしまった。
「こんなところで、紫堂君に会えるなんてラッキー!」
「私服姿の紫堂君も、ヤバすぎ。すごくカッコいいんだけどっ!」
みんなで頬を赤く染めて歓声をあげている。
蓮君は、さきほどまでの笑顔から一転、眉間にググッとシワを寄せていた。
ま、まあ…無理もないよね…。
女の子たちに囲まれることは、苦手みたいだし…。
学校での光景を思い出して苦笑いしていると、一人の女の子がキッと私を睨みつけた。
「ちょっと、アンタ…邪魔。」
「は、はい…すみません。」
私は咄嗟に謝って少し蓮君たちから離れた。
こ、ここでも早崎さんみたいな恐い女の子に会うとは…。
ビクビクしていると、蓮君は私を睨みつけた女の子に、鋭い眼光を飛ばした。