不良狼の一途な溺愛

えっ!
どこっ!?


グルッと辺りを見回して探すと、中庭を挟んだ向かい側の校舎の廊下で、手招きをしている先生の姿が映った。


「職員室は、こっちこっち!」


爽やかな笑顔で傍の部屋を指差している。


どうやら、そこが職員室らしい。


「早く来いよ〜」


だったら、最初から案内して下さいよ…。


足取り軽く職員室に入って行く先生に、ちょっとイラッとしてしまった。


と、とにかく…
プリント類を受け取って早く帰ろう…。


私は近道をするべく、渡り廊下から中庭へと出た。


ここを通り抜ければ、時間の短縮に繋がるからだ。


桜の木がドッシリと真ん中に植えられている中庭。


少し散りはじめた花びらが地面を淡いピンク色に染めている。


その中を足早に通り抜けようとした時だった。




ガサッ…



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