不良狼の一途な溺愛
「は、離して下さい!」
振りほどこうとして、手を上下に揺らしたものの、ビクともしない。
嫌がっているというのに、男の人たちは何だか楽しそうだ。
どうしよう、最悪な展開だ。
はぁ……。
こんなことになるなら、女の子たちに冷たい視線を投げかけられようが、睨まれようが、さっきのお店に居た方が良かった……。
今更ながら後悔してしまった。
「ほら、行こう?」
グイッと手を引っ張られて体が前のめりになる。
どうすることも出来ず、私の口から溜め息が零れた時だった。
「おい。」
後方から飛んできた、ものすごく低い声。
振り向いた私は目を見開いてしまった。