不良狼の一途な溺愛
「…ったく、すげぇ焦ったじゃねぇか。」
「えっ…?」
「いきなり…柚が店から居なくなってたから、お前の身に何かあったんじゃないか…って不安でいっぱいになって、すぐさま店を飛び出したんだぞ!?」
そ、そうだったの…?
思わぬ事実に、蓮君の腕の中で瞬きを何度も繰り返した。
そんな風に心配してくれたんだ…。
ますます申し訳なさが募る。
蓮君の腕の中で、私はゆっくりと口を開いた。
「蓮君、ごめんなさい。さっきは助けてくれて…本当にありがとう。」
素直な気持ちを伝えると、蓮君の体がピクッと微かに動く。
どうしたのかな…?
不思議に思っていると、蓮君は私から少し離れた。
「礼を言われるようなことは、何もしてねぇよ…。」
照れくさそうに頭を掻いた蓮君は、私の目を真っ直ぐ見つめた。
「…お前を守るのは、当然のことだ。」
「……っ!?」
堂々とした声で言われた私は、心臓がドックンと勢いよく跳ねるのを感じた。