不良狼の一途な溺愛

わわっ、何これ。


すごくドキドキしちゃってる…。


私は服の胸元部分をギュッと握りしめた。


でも、どうして私にそんな言葉を掛けてくれるんだろう…?


どうして…??


頭の中で疑問を巡らせていると、突然…蓮君が何かを閃いたかのような顔つきで、私の前に手を差し出した。



「えっと…何?」


「柚、あれ出せ。」


“あれ”って何のことだろう…?


あっ!!


ま、まさか…助けてやったんだから、お金を払え…って意味!?


私は体がビクリと震えた。

“礼を言われるようなことは、何もしてねぇ”って言ってたくせに、話が矛盾してるじゃない…。


不服に感じたけれど、助けてもらったのは事実。


ここはお支払いするしかないよね…。


断る勇気は無いし…。


私は慌てて持っていたバッグに手を突っ込んだ。



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