不良狼の一途な溺愛
「け、携帯…?」
私の携帯を、どうするつもりなんだろうか…。
不審に思いながらも、バッグの中から取り出して蓮君の手のひらにのせた。
「ちょっと待ってろ。」
そう言うと、蓮君は私に背を向けて何かをやり始めた。
私の携帯に危害を加えたりしてないよね…?
不安な気持ちを燻らせていると、ほんの数分で蓮君は私の方に体を向けた。
「今、番号の交換させてもらった。これ、俺の番号だから。」
「えっ…」
差し出された私の携帯。
ディスプレイには蓮君の携帯電話の番号が表示されていた。
「あ、あの…どうして?」
「お互い、知ってた方が何かと便利だろ?」
蓮君はフッと優しい笑みを零した。
「困った時とか、沈んでる時、それ以外のことでも構わない。電話したい時はいつでもしてこい。俺が話を聞くし、ピンチの時は飛んでいくから。」
「…………。」
携帯のディスプレイを見たまま、私は固まってしまった。