不良狼の一途な溺愛
「れ、蓮君…。こんなところでケンカするのは、やめた方が……」
午後の穏やかな公園。
ここでケンカしたら、大変な騒ぎになっちゃう…。
そんな危機感を抱いた私は、おそるおそる蓮君に言葉をかける。
陸都君も私に続いて、慌てた様子で口を開いた。
「そうだよ、蓮!柚ちゃんに抱きついたことは本当に悪かった…!だからもっと穏便に…」
「穏便に済ませたいなら、最初から柚に触れるんじゃねぇよ!」
辺りに響きわたるほど迫力ある声。
反射的に私の肩がビクッと上がる。
あまりの怖さに、若干…涙目になっていると、蓮君は焦って私の顔を覗き込んだ。
「な、なんで柚が泣きそうになってるんだよ。俺は陸都に対して言ってるのに…。」
「そっ、それは分かってるけど、蓮君…すごく恐いから……。」
ビビりまくっている私を見つめながら、蓮君は申し訳なさそうに頭を掻いた。
「柚を恐がらせるつもりはなかったんだけど、ごめんな。」
柔らかな眼差しを私に向けた蓮君だったけど、すぐに視線を陸都君に移す。
あっという間に怪訝そうな表情へと変わっていた。