不良狼の一途な溺愛
「お前ら、そんなにジロジロと見てるんじゃねぇよ。柚が怖がってるだろうが。」
えっ…!?
今は怖がってたわけじゃなくて、男の子たちの視線に戸惑ってたんだけどな…。
っていうか、そんな言葉よりも先に、噂の内容を否定しておこうよ!!
“彼女じゃない”って、蓮君がハッキリと言えば、みんなの誤解も直ぐに解けるのに…。
蓮君の背中に向かって、心の声をぶつけた。
「なあ、蓮〜。カラオケ行こう?」
尚もまだ、めげることなく誘い続けている陸都君。
もしかして、蓮君が折れるまで諦めないつもりなのかな…。
その粘り強さに驚いてしまう。
「しつこいな。俺たちは行かないって言ってんだろ。お前らだけで楽しんでくればいいだろ。」
「で、でもさ…せっかくだから、みんなで盛り上がろうぜ?俺…柚ちゃんの歌う声とかも聞いてみたいし。」
その言葉を聞いた瞬間、蓮君の肩がピクッと動いた。
「柚の歌う声を聞きたい…だと?」
恐怖を覚える硬い声。
空気が凍りついてしまいそうなほどだ。