不良狼の一途な溺愛

なぜなら…


桜の幹に背中をもたれて、太い枝の上に座っている男子生徒が目に入ったからだ。


思いっきり、くつろいでる…。


どうして、こんな場所でマンガなんて読んでるの!?


あれじゃあ、桜の木が可哀想…。


口をポカンと開けて呆気にとられていると、男子生徒は怪訝そうに私を見る。


そして、はぁ…とため息を零した後、慣れた様子で桜の木から、私の目の前に飛び降りてきた。


「ひゃっ!」


驚いた衝撃で、私は尻もちをついてしまった。


「ちょっと!いきなり飛び降りてこないでよ!ビックリするじゃない…!」


「そんなの、別に俺の自由だろ。それに、アンタが勝手に驚いて転んだだけじゃん。」


な、何よ…コイツ!!


沸々と怒りが込み上げる。


拾ったマンガ本を投げつけようとして、男子生徒の顔をキッと睨んだ時だった。





ん…?


そう言えば、この人…。



< 17 / 364 >

この作品をシェア

pagetop