不良狼の一途な溺愛
なぜなら…
桜の幹に背中をもたれて、太い枝の上に座っている男子生徒が目に入ったからだ。
思いっきり、くつろいでる…。
どうして、こんな場所でマンガなんて読んでるの!?
あれじゃあ、桜の木が可哀想…。
口をポカンと開けて呆気にとられていると、男子生徒は怪訝そうに私を見る。
そして、はぁ…とため息を零した後、慣れた様子で桜の木から、私の目の前に飛び降りてきた。
「ひゃっ!」
驚いた衝撃で、私は尻もちをついてしまった。
「ちょっと!いきなり飛び降りてこないでよ!ビックリするじゃない…!」
「そんなの、別に俺の自由だろ。それに、アンタが勝手に驚いて転んだだけじゃん。」
な、何よ…コイツ!!
沸々と怒りが込み上げる。
拾ったマンガ本を投げつけようとして、男子生徒の顔をキッと睨んだ時だった。
ん…?
そう言えば、この人…。