不良狼の一途な溺愛
どうやら、夕食の買い物に行って来たけれど、食材の買い忘れがあったらしい。
それで、帰りに私に買って来て欲しいようだ。
“なるべく早めにお願いね”って書いてあるなぁ…。
どうしよう…。
私は、チラリと蓮君の方に視線を向けた。
「陸都、お前は柚のこと…どう思ってるわけ?」
「べ、別に何とも…」
「何とも思ってないヤツが、さっきみたいに、いきなり抱きついたりするのかよ。」
「あっ、いや…時と場合によっては……」
「てめぇ…適当なこと言ってんじゃねぇよ!!」
なんか、口喧嘩に突入しちゃってる…。
ま、参ったな…。
私がケンカを止められるわけないし、かといって…終わるまで待ってたら日が暮れそう。
あまり帰りが遅くなると、お母さんにも色々と文句を言われるだろうし…。
うーん……。
しばし考えた結果、私は買い物をして家に帰る方を選択した。
少しずつ後退りをして蓮君たちから離れようとしていると、一人の男の子が“柚さん、帰っちゃうんですか?”と言葉を発した。