不良狼の一途な溺愛
「えっ…」
付き合う…って、どこに?
私は何度も瞬きをした。
意図は分からないけど、付き合わない方がいい…。
自然と、そんな風に感じた。
「あ、あの…すみません。今日は用事があって直ぐに帰らないといけないので、し…失礼します。」
パッと思いついた、断るための理由をソワソワしながら話す。
蓮君に呼び出されてるし、“用事がある”という点は、まんざら嘘でもない。
早崎さんたちにお辞儀をした後、クルリと背を向けて教室の方へと足を進めようとしたけれど、不意にガシッと腕を掴まれてしまった。
「……待ちなさいよ。」
低くなった早崎さんの声が耳に入ってくる。
腕を強く掴んだまま、私の前に立った早崎さんの表情からは笑みが消えていた。
「逃げようとするなんて、いい度胸してるわね。」
キッと睨まれて肩がすくむ。
「私が付き合えって言ってんだから、来なさいよ。」
「ひゃっ!」
グイッと腕を引っ張られて、体が少し前のめりになるけれど、全くお構い無しといった感じの早崎さん。
教室のある棟とは反対方向へと歩き始めた。