不良狼の一途な溺愛
でも、そんなこと…あるわけないよね…。
私、物事を都合よく考え過ぎだ…。
はぁ…と小さく溜め息を零した。
「ちょっと!私の前で溜め息つくなんて、どういう神経してんのよっ!」
ひぃぃっ!!
聞こえてないかと思ったのに、耳に届いてたんだ…。
唇を噛みしめながら、私の足元に立つ早崎さん。
肩に掛けていたバッグの持ち手をギュッと力強く握りしめた。
「こんなにムカつく女、初めてよ。私の蓮に取り入るなんて、最低っ!!」
そう叫んだ早崎さんは、バッグを片手に持つ。
私に凍てつくような視線を向けかと思うと、バッグを振りかざした。
う、うそっ…。
もしかして、それを私に投げつけるの…!?
あれが顔に当たったら…と思うと、一気に体から血の気が引いていく気がした。
ガクガクと体の震えが止まらない。
止めて欲しい…と思ったけれど、そんな祈りは届くわけがなく、早崎さんはバッグを今にも振りおろそうとしている。
も、もうダメっ…!!
私は咄嗟に目をギュッと瞑った。