不良狼の一途な溺愛
「…………。」
ん…?
あれ…??
そろそろバッグが私にあたっても良さそうなのに…。
衝撃も痛みも何もない…。
不思議に思った私は、ゆっくりと目を開ける。
「えっ……」
その瞬間、驚きのあまり目を見開いてしまった。
なぜなら…視界に映った人は、つい今しがた“こんな時に来てくれたら”と私が思っていた人だったからだ。
「れ、蓮君……」
思わず、呟くように名前を口にする。
蓮君は、早崎さんの斜め後ろから、バッグが振りおろされないように腕をガシッと掴んでいた。
「う、うそっ…蓮!?なんでこんなとこにいるの?」
私以上に驚いた様子の早崎さんは、急にしどろもどろになり始める。
取り巻きの女の子たちも、驚いて固まっているみたいだ。