不良狼の一途な溺愛
「てめぇらこそ、こんな場所で何やってるわけ?」
蓮君は、早崎さんや取り巻きの女の子たちに鋭い視線を飛ばす。
低い声には、明らかに怒りが込められていた。
「ちょっと御苅さんを囲んで、せっ…世間話をしてただけなの!」
早崎さんは、慌てて言葉を返す。
これのどこが世間話をしている状況なのよ…。
あまりにも変な言い訳に、唖然としてしまった。
「早崎、そんな下手な嘘に俺が騙されるとでも思ってんのかよ。」
蓮君が声を荒げると、早崎さんは体をビクッと震わせる。
みるみるうちに顔は青ざめていき、今にも泣きそうな感じだ。
「俺、前に警告したよな?“柚には近付くな”って。」
「そ、それは…」
口ごもる早崎さんに、蓮君は言葉を続ける。
「あの警告を無視して、ただで済むと思ってんのかよ。」
とても恐ろしい声に、空気すら凍り付いてしまったかのように感じた。
しばし流れる嫌な沈黙。
息苦しさを感じていた時、早崎さんがゆっくりと口を開いた。