不良狼の一途な溺愛
大きな誤解
「柚、大丈夫か…?」
素早く私の前にしゃがんだ蓮君。
早崎さんたちに向けていた鋭い眼差しや、冷たいオーラはスッカリ消えている。
とても心配そうな顔だ。
「わ、私は…大丈夫だよ。」
笑って答えたけれど、蓮君は表情を変えないまま、私を優しく抱き寄せた。
「大丈夫じゃねぇだろ。体、震えてる…。」
「………。」
うそ…。
微かに震えてるだけだから、気付かれてないと思ったのに……。
ビックリしている私を、蓮君は更に強く抱きしめた。
「悪い…。俺がもっと早く来ていれば、柚が危険な目に遭うこともなかったのにな…。」
申し訳なさそうな声が耳元で響く。
私は蓮君の腕の中でフルフルと首を左右に振った。